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蛮 勇 引 力

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ザハロワ・ガラ・パフォーマンス

 
「ザハーロワのすべて」観賞記録。
5月1日(金)Bプロ、 5月2日(土)Aプロ、 5月3日(日)Bプロ (於東京文化会館) 
1部の「カルメン組曲」はA・B共通、 2部でA・Bの上演作品が違う(共通作品あり)
というプログラム構成。
 


 

1部:「カルメン組曲」 カルメン:スヴェトラーナ・ザハロワ  ホセ:アンドレイ・ウヴァーロフ 
              闘牛士:アルテム・シュピレフスキー  コレヒドール:ヤン・ヴァーニャ
              他 キエフ・バレエのメンバー

ザハロワ&ウヴァーロフの「カルメン組曲」は、 美しすぎるカルメンの物語でした。
社会の底辺にいながら 誰からも飼いならされたりはしない、 時にずる賢く激しく生き抜く
ロマ(ジプシー)の女カルメンはそこにはいません。
ザハロワのカルメンはそもそもこんな女は社会の底辺にいるはずもない女なのでした。
美しすぎる女は 神/死神から お前はワタシのものだよ と、 この世に生のある短い間
自由・気ままに生きることを許された女だったのだと思えます。
そして女自身もその運命を感じ取っているかのような影をどこかに秘めているのです。
絶命する前に、 最後の力をもって “私はカルメン、 私は私なのよ” とでも言うかのように
見得を切る場面は、 運命に捕らわれていた女が最後に自尊心をもって対峙したかのようで、
胸をうつものがありました。
マリインスキー時代の恩師モイセーエワが 「ザハロワの足には詩情がある」 と語っていま
したが、 今回のカルメンでも 彼女が演じたカルメンの意志や感情が その足に映り、語り、
彼女の足が 描き出すものにあらためて注目すべきなのだと思った舞台でした。
しかしながら、 ザハロワの美は凄い・・・。

ウヴァーロフのホセの、 カルメンの虜となり思い詰めていく男もまた なんとも切なく演じられ
ました。
カルメンへの狂おしいばかりの想い、 失いたくない想いを彼女にぶつけるホセとそれを優しく
包み込むように受け入れるカルメンとのアダージォは なんともなんとも美しく切なく、 胸に
迫るものでした。


ホセ・闘牛士・コレヒドール(ホセの上官)は皆190cm超えで揃え(笑)、 美しいザハロワと共
に舞台栄えとしては、 大変豪華。
但し、 上記したように、 ザハロワのカルメンは 既知の“カルメン”ではありませんでしたし、
ウヴァーロフのホセもまた、 “ホセ”としては 優雅過ぎ/王子様過ぎで ホセのイメージでは
ないと言えるでしょう。
ウヴァーロフがヴァーニャやシュピレフスキーと踊ると 彼の体の使い方、 踊りの上手さが
とてもよくわかり、 興味深かったのですが、 「カルメン組曲」としては優雅すぎるように
感じられました。
シュピレフスキーの闘牛士もまた闘牛士にあらず。 カルメンが彼に興味を持つ理由が
わかりません。(笑)
アロンソの振付は、 ヘタなダンサーが踊ると ドリフのコントのようになってしまう恐れがあり
ますが、 動きにキレがなく、 ピタッととまって形を作れないシュピレフスキーはまさに・・・。
醸し出す雰囲気も、 闘牛士とはほど遠い可愛さとゆるさ(笑)。
最初に闘牛士にキャストされていたのはマトヴィエンコで、彼が出演出来なくなってしまった
ため、 シュピレフスキーになったわけですが・・・、 残念ながらカルメンとホセと闘牛士という
三角関係のバランスは崩れてしまいました。
織り成されたパフォーマンスは、 “いわゆる「カルメン」”ではない要素が多く、 従来イメージ
する「カルメン(組曲)」とは 違うものという印象で、  「カルメン」 を期待するヒトには不満の
残る舞台だったかもしれません。
(コレヒドールのヴァーニャは硬質な雰囲気がこの役と版に一番合っていて、なかなかよかった
と思いますが。)
それでも、 美しすぎる女とその女に魅了されてしまった男の物語 として、 充分楽しむことが
出来た舞台でした。 


2部:
Bプロ 「パリの炎」 
Aプロ 「海賊」  
ニーナ・カプツォーワ&イワン・ワシリーエフ
両演目とも、 カプツォーワはとてもキュートで、 丁寧で品のあるパフォーマンスでよかった
と思いますが、 相手の派手なワシリーエフに霞んでしまうようで、 少々気の毒な感じが
してしまいました。
彼女の出演が A・B共1演目だけだったのも もったいなく残念。
とはいいえ、 やはり韋駄天野郎ワシリーエフ(笑)の ジャンプと回転はスゴイの一言。
「海賊」では衣装(パンツ)が 「パリの炎」と同じものと思われ(ブーツを履かずにカマーベルト
を換えただけのよう)、 なんだかとび職のお兄チャンの曲芸を観ているようで 思わず笑って
しまいましたが、 彼の茶目っ気たっぷりの陽気な個性と合わさって、 楽しいダンサーで
あることは間違いないようです。(笑)


Bプロ 「トリスタン」 ザハロワ&アンドレイ・メルクーリエフ
オペラ「トリスタンとイゾルデ」は観たことがないので、 作品の根底にあるものがよく
わかりませんが、 若い二人の哀しい運命とその享受が 美しく表現された作品でした。 
トリスタンにもう少しサポート以外の比重があってもいいように思うのと、 メルクーリエフの
表現にもっと激しさのようなものがあっていいのかもとも。

Aプロ 「アダージョ」 メルクリーエフ
メルクリーエフのソロ作品。 純粋で透明感のある踊りは美しく、 心が洗われるような
気持ちになる。


Bプロ 「Revelation」 ザハロワ
ぽつんとイスがあるだけの舞台は どうしようもない孤独な空間。
その空間にもんどりうつ魂を ザハロワの肢体が 表現する。
この作品を ザハロワが踊りたい と思ったこと自体が興味深い。
平山素子が踊るのを観て気にいたザハロワが、 直接振付けてもらったそうで、 以後様々な
ところでこの作品を踊っている。 ここ数年、 コンテンポラリーに新境地を見出し、 積極的に
取り組んでいるザハロワ。 今回のガラ公演も 日本でまだ未公開の彼女の「カルメン組曲」と
コンテンポラリーを披露するのが大きな目的だったわけですが、 彼女をコンテンポラリーに
ぐっと近づけたのが この作品だったのではないだろうか。
今回はレベランスに平山さん自身が登場する演出をみせてくれて、 日本人として嬉しかった。

 

B・A共通 「エスメラルダ」 オリガ・キフャーク&ヤン・ヴァーニャ(キエフ・バレエ)
キフャークは とてもしっかりしたテクニックのあり、 安心して観ていられるバレリーナ
でしたが、 なんだか妙に老けた顔立ち。
ヴァーニャもテクニック的に悪くはないけれど、 「カルメン組曲」の硬質感がこの演目でも
残っていて、 元々そんなタイプなのだろうか。
悪くはなかったけれど、 3回続けて観たら 少々飽きてしまった。


B・A共通 「ブラック」 ザハロワ&メルクリーエフ
素晴らしい。 今回の公演で1番よかった作品ではないだろうか。 スタイリッシュでスピーディ
で、 無機質だったり、 人間的だったり、 動物的だったり、 機械的だったりと ころころと
変化していく動きや感情を驚異的な身体能力を駆使して、 ザハロワとメルクリーエフが息も
ぴったりに踊りきる。 凄い。


Bプロ 「ジゼル」
Aプロ 「マグリットマニア」
ネッリ・コパヒーゼ&アルテム・シュピレフスキー
コパヒーゼのジゼルはさぞ似合って素敵だろうと期待していたのだけれど・・・。
あまり浮遊感もなく、 少々期待はずれでした。 今回のコパヒーゼに関して言えば
「ジゼル」より「マグリットマニア」の方がよかったように思う。
「ジゼル」は1日より3日の方がよかったけれど、 組んだ相手がよくなかったからとか?(笑)


B・A共通 「クレイジー」 ワシリーエフ
テクニック的にも キャラクター表現的にも 彼の持ち味が活かされた作品。 ピルエットに
ジャンプにと、 スゴ技も大放出。
さすがに3日は疲れたのか、 “アクロバット”は2日の方が冴えていたように思う。
この作品、 マリインスキーのコルプあたりが踊ったら、 もっと深みのある表現となって
より楽しめるのではないだろうか。


Bプロ 「ヴォイス」 ザハロワ
Bプロのトリとしては、 ちょっと物足りない。 ゴージャスな雰囲気にコミカルな要素を取り
入れた作品で、 楽しく終えたいザハロワの気持ちはわからないではないが、 作品として
いまひとつ。

Aプロ 「ドン・キホーテ」 ザハロワ&ウヴァーロフ、 キフャーク、 タチアナ・リョーゾワ
やはり「ドンキ」は盛り上がる。 ウヴァーロフのバジルとなればなおさら(ファン・モード(笑))。
新しく新調したのだろうか。 ザハロワのキトリの衣装も可愛かった。
ウヴァーロフの2部の出演がAプロだけというのは やはり寂しい。 きっと体力ケアのため
なのだろうけれど。

ラストは、 全員出演してのパガニーニの曲でエピローグ(2度ほど繰り返される)。
男性陣は 技の競い合いのようなことをして盛り上げてくれた。 3日のウヴァーロフは
1度目と2度目とではダイナミックなジャンプの種類を変えてくれてのサービス。
メルクーリエフは、 ジャンプではなくピルエット担当。 彼の軸のずれないプルエットはとても
素晴らしい。
ガラ公演というのは やっぱり楽しい。 プログラム組みには まだまだ検討・改善の余地が
あると思うけれど、 重ねながらバージョン・アップをしていけること。
ぜひまた開催してもいたいと思います。
(3日は幸運にも1階最前列の席だったため、 出演者たちの表情もよくわかり大変贅沢な観賞
が出来ました。 クセになりそうですが、 先立つものが・・・。(苦笑))



                 Red Rose


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  1. 2009/05/05(火) 21:52:02|
  2. about D
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